印刷にまつわる面白話・豆知識 | CMYKの「K」って実は●●です

CMYKって聞いたことあるけど、実はよく知らないな…と思ったことはありませんか？

特に「K」は何の略？って疑問に思った方も多いはず。

今回は、CMYKの秘密を紐解きながら、カラー印刷の世界を覗いてみましょう。

直訳すると「カギになる色」になるKey toneは、カラー印刷に欠かせない黒色を指しています。

カラー印刷に黒色が必要なのは、CMYの3色を掛け合わせだけでは、きれいな刷り上がりにならないからです。CMYだけですべての色が表現できるのは理論上のことであり、実際はそれぞれを100％で掛け合わせても濃いグレーにしかなりません。

そこで、くっきりとした黒インキやそれを印刷するための版が必要になりました。それぞれがKey tone、Key plateと呼ばれ、CMYKのKの由来となっています。

ちなみに国内の印刷業界では、黒のかわりに「墨（スミ）」という言葉が用いられます。たとえば黒版ではなく墨版と呼ばれるのが一般的です。

シアンやマゼンタという名前も、ちょっと変わった由来を持っています。

シアン: ギリシャ語の「kyanos（シアノス）」が語源で、青緑色を意味します。

マゼンタ: イタリアの町「マジェンタ」が由来です。19世紀にこの町で起きた戦いで、フランスの科学者が新しい色の染料を作り、戦勝地にちなんで「マゼンタ」と名付けたそうです。

青緑色を表すシアンは、ギリシア語で青を表す「κύανος（キアノス）」から派生したとか。これが「kyanos（シアノス）」や「cyanos（シアノス）」に変化して「cyan（シアン）」になったようですがはっきりしていません。

同じようにわからないのが、カラー印刷に必要な青緑色にシアンという言葉を当てた理由や時期です。青緑色は特殊な色だからblueなどと表すのはふさわしくないので、ギリシャ語由来のcyanを当てるようになったようです。

よくわからないシアンに対して、はっきりしているのはマゼンタです。赤紫色を表すマゼンタは、イタリア・ミラノ郊外の町・マジェンタに由来しています。

マゼンタという色ができたころ、イタリアという国は存在していませんでした。いくつかの王国や公国に別れていただけでなく、ミラノを中心とする北部地域はオーストリアに支配されていたのです。

そんな北部地域を開放してイタリア統一を目指したのは、王国の一つサルデーニャでした。フランスと同盟を組んだサルデーニャはマジェンタの戦いなどでオーストリアに勝利し、イタリア統一は大きく前進したのです。1859年のことでした

ちょうどそのころフランスの科学者・ヴェルガンは鮮やかな赤紫色の染料を開発して、戦勝地からマゼンタと名付けました。

マゼンタが登場したのは、化学染料の出始めのころです。鮮やかな赤紫色は当時の人たちの目に鮮烈に映り、マゼンタの毛織物が大流行したといいます。

CMYKの「K」が「Key tone」であること、そして各色の名前の由来など、カラー印刷には意外な発見がたくさんありましたね。これからも、印刷技術はますます進化していくでしょう。

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