■今回の印刷面白話は…切手の印刷は超高精度アート!緻密な芸術と印刷技術


切手は郵送物の送料を前払いするための印刷物ですが、それだけではないアートとしての側面もあります。小さな切手の中には、高い芸術的価値・最新の印刷技術が秘められているのです。
切手は郵送物の送料を前払いするための印刷物ですが、それだけではないアートとしての側面もあります。小さな切手の中には、高い芸術的価値・最新の印刷技術が秘められているのです。
切手は印刷物のひとつで、もっとも馴染み深い郵送アイテムのひとつです。
市販の切手はもちろんですが、希望すれば対応する郵便局で、オリジナル切手を作製することもできます。
一般的に流通する切手の多くは、東京都港区にある国立印刷局で印刷されています。
国立印刷局は切手以外にも紙幣を印刷する工場でもあり、全国で6ヶ所の印刷工場が稼働しています。
切手が日本の経済に欠かすことができないインフラ設備で印刷されていることに、驚かれた方も少なくないのではないでしょうか。また一部の切手は国が委託する民間企業が印刷しており、常に需要と供給のバランスを維持しています。
郵送物はそれ単体では適切な輸送サービスを受けることはできません。
必ず切手またはミニレター(郵便書簡)などの、送料が含まれる付属物と一緒に投函する必要があります。
もし切手を貼らずに郵送物をポストに投函してしまうと、基本的に受取人が切手分の料金を支払わなければ配達が完了しません。
このとき受取人が拒否すると、郵送物は配達されず差出人まで差し戻されてしまいます。
切手は色々な種類があり、それぞれ金額・カテゴリーなどが異なります。
一般的な切手は「普通切手」と呼ばれ、16円〜500円の金額で取り扱いがされています。
特殊切手・ふるさと切手・グリーティング切手など、イベントや記念品として作製される切手もあります。
また切手はのり式・シール式で2パターンの添付方法があります。
のり式は切手の裏面に乾燥した状態でのり加工がされており、表面が濡れることで接着効果が生まれます。
対してシール式は裏面のフィルムを剥がすとシール状の接着面となり、水に濡らさなくても切手が貼れる仕組みになっています。
切手は郵送物に必要なシール、そんなイメージしか浮かばない人も多いのではないでしょうか。
しかし切手を芸術的・美術的な視点で見てみると、興味深い切手の世界を知ることができます。
切手は縦2.6cm×横2.2cmと小さいサイズではありますが、その中に様々なデザインが緻密に印刷されています。
歴史的な偉人の肖像・有名な建築物・企業のマスコットキャラなど、切手をキャンパスとして鮮やかに表現される様はアートといって差し支えありません。
無機質な郵送物に小さな彩を添える、切手はそんな素敵な芸術性を兼ね備えているのです。
希少価値が高い商品はいわゆる「プレミア価格」が付き、相場価格より数段高値で取引されます。
それは切手についても例外ではなく、特殊切手を筆頭に入手が難しい物ほど、希少価値が高くなります。
代表的な高額切手は、1930年以降に印刷された記念切手・1908年以降に印刷された旧高額切手・1980年に印刷された一部の年賀切手などが挙げられます。
外国切手では中国の赤猿切手などが有名であり、その名の通り切手全面が赤く印刷され、見る人に強いインパクトを与えています。
このような切手はコレクター商品としての価値も高く、国内だけでなく海外でも切手を収集するコレクターが多く存在します。
上記からもわかる様に、一部の切手は美術品と同等に取り扱われており、その価値は日を追うごとに高まっています。
縦2.6cm×横2.2cmの面積しかない切手の表面に、様々なデザインを印刷で表現するには、高度な印刷スキルが必須になります。
一般的に切手の印刷で使用されるインクは、C(シアン)・M(マゼンダ)・Y(イエロー)・K(ブラック)の4色、特色と呼ばれる専用のインクです。
CMYKはご家庭のプリンターのカートリッジにも使用されているので、馴染み深いと感じる人も多いのでは。
国立印刷局では主にグラビア印刷という方法で、切手の鮮やかな色彩・デザインを印刷しています。
グラビアとは「gravure」という版画を意味する言葉に由来し、版と呼ばれる金属面に凹凸を付け、そこにインクを乗せて転写します。
切手を虫眼鏡で拡大してみると、グラビア印刷で作製されたセルと呼ばれる凹が、細かくインクを転写していることがわかるでしょう。
このインクが緻密に組み合わさることで、美しい切手が印刷されるのです。
国立印刷局で使用されるグラビア印刷の技術は、切手の偽造防止にも有効に機能しています。
近年市販のプリンター性能向上に伴い、個人でもコストをかければ、かなり精巧なイミテーションを作製することができるようになりました。
本物と偽物を並べても、肉眼では判断がつかないレベルの偽造切手もあるようです。
しかし国立印刷局では偽造防止対策として、消印用機械に切手が通るときに、本物と偽物が判別できる仕組みを導入しています。
これは高度なグラビア印刷と併せて、特殊なインクで刷り出すなど、最先端の印刷技術なしには成立しません。
これから切手を見るとき、その精巧なデザインやそれを支える印刷技術など、色々な角度で見てみると、もっと切手の世界が奥深く感じられるのではないでしょうか。
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