印刷の面白話│世界初の印刷広告から考える印刷ヒストリー

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■今回の印刷面白話は…世界初の印刷広告から考える印刷ヒストリー

プリンターも印刷会社もない時代、そのブレイクスルーとなった世界初の印刷とは?
現代マーケティングで必要不可欠な、まさに王道ともいえる印刷広告の歴史の一端を紐解きます。

印刷広告の役割と歴史について考察

新しい価値を広く発信するための印刷物

現代社会において印刷広告の主な役割の一つが、新しい価値観を情報として普及させることにあります。
「広告を打つ」という言葉があるように、商品販促や自社ブランディングを行う際、必ず広告というツールが必要になります。
広告には色々な種類がありますが、歴史の中で古くから活躍してきたものが印刷広告です。印刷が生み出された背景には、「どうしてもこの情報を伝えたい」という、人間の切なる願いが根底にあるのです。

印刷技術が発展する前の問題点は?

問題点1大量生産かつ短納期に不向き

今では信じられないかもしれませんが、印刷技術が確立していない時代では、広告の役割を果たすものはすべて手書きで準備していました。
オリジナルとなる原本をもとに、人間がひとつずつ手書きで紙や洋皮紙などにインクで書き込まなければいけません。
そのため大量に配布するには、どうしても多くの人手で一斉に仕上げる「人海戦術」での作成が必須になります。
また情報量の多い広告ほど、1枚にかかる時間も長くなるという問題もありました。

問題点2正確性・デザイン性の欠如

昔の印刷広告の役割を果たすビラや写本をみると、中には誤字脱字があるケースも見受けられます。
これは人間がひとつずつ手書きするため、ヒューマンエラーとして一定数出てしまうことが予想できます。
また1枚に時間をかけることができないため、必然的に内容が簡素・簡潔なものになりやすく、デザイン面で凝ることも難しいのが現実でした。
これでは多くの人の記憶に、深く印象付けることは難しいといえるでしょう。

世界初の印刷広告はどんなもの?

最古の印刷物は百万塔陀羅尼

世界で一番古いとされる印刷物は、実は日本で作成された書籍であることが知られています。
時代を遡ること、なんと天平宝字8年(764年)、現代に生きる私たちが想像することも難しい昔の日本で生まれています。 電気・ガス・水道など、生活に必要なインフラが整備されていない時代に、最古となる印刷物が発刊されたことはとても感慨深いですね。
百万塔陀羅尼の明確な作者は不明とされますが、天皇の勅令にて体系化された書物であることはわかっています。
百万塔陀羅尼は「恵美押勝の乱」と呼ばれる戦の後に、亡くなった人の弔いや国の安泰を祈願する目的で作成されました。
百万塔陀羅尼は仏教の経典のひとつとして、民衆に広く普及することになります。
ちなみに日本以外で海外で最古とされる印刷物は、1450年頃にヨーロッパのグーテンベルクで作成された「グーテンベルク聖書」が有名です。
こちらはラテン語で印字された聖書で、プロテスタント信仰のツールとして利用されました。日本と海外で比較しても、どちらも宗教に関係する印刷物という共通点があることが興味深いですね。

日本最古の印刷広告は仏法の普及に貢献

歴史をみても広めたい情報や知識を紙に刷り出すことは、情報拡散という観点から考えると、とてもスマートな方法であることがわかります。
印刷物が普及する前の時代では、木版に手書きした文字を通りに建てることで、簡易的な看板として伝えることが一般的でした。
ただこの方法では限定的な情報拡散しか狙えず、またその情報を長期的に残すことは難しいといえます。
そこで情報を紙にまとめ印刷物として発刊することで、何百年単位で人々がその情報にアクセスできるようになりました。
後世に生きる私たちが百万塔陀羅尼を読むことができるのも、ひとえに百万塔陀羅尼が印刷物として作成されたことにほかなりません。
百万塔陀羅尼の明確な作者は不明ですが現代の印刷広告のように、仏法の考え方を情報として拡散することに見事に成功した事例といえるでしょう。

百万塔陀羅尼からみる古来の印刷技術

一説によると百万塔陀羅尼は100万部もの大部数が印刷され、日本各地へ仏法の教えを広めたとされます。
現代の洗練された印刷機であれば、100万部の印刷物を短期間で納品することは容易です。
しかし百万塔陀羅尼が生み出された天平宝字8年では、この部数の発刊は国家プロジェクト規模に相当する大行事でした。
百万塔陀羅尼は現代でいうところの、凸版印刷という印刷手法で印刷されています。
凸版印刷はその名の通り、表面を凸状にした版を作成し、ここにインクを付着させます。
次に用紙と凸部分を圧着させることで、凸部分のインクが転写される仕組みです。
この方法は一度原本となる版があれば繰り返し印刷できるため、短時間で大量に刷り出せるメリットがあります。
凸版印刷は現代でも受け継がれており、版となる素材には真鍮・銅・合成樹脂など、用途に合わせた物が使われます。
百万塔陀羅尼に関しては諸説あり、木版で印刷した説、銅版と併せて印刷した説など、色々な意見がでているようです。

広告印刷は販促に必要不可欠な万能ツール

印刷物を歴史から考察すると、そのアドバタイズメントの高さに驚かされます。
情報を伝える、情報を長期間保管するうえで、印刷技術のポテンシャルは必要不可欠といえるでしょう。
これは今後時代が変わっても、変わらない普遍的な事象のひとつになるはずです。
私たちの生活の至る所で活躍する印刷広告、そのはじまりともいえる最古の印刷物を知ることで、印刷の歴史をより身近に感じてもらえれば幸いです。

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