■今回の印刷面白話は…フードに触れるインク豆知識、マクドナルドと印刷
私たちの身近なファーストフードであるマクドナルド、その食品包装紙とインクの安全性はどのようなものなのでしょうか。食品包装紙を深く知れば、印刷で馴染み深いインクの違った側面を覗くことができます。
私たちの身近なファーストフードであるマクドナルド、その食品包装紙とインクの安全性はどのようなものなのでしょうか。食品包装紙を深く知れば、印刷で馴染み深いインクの違った側面を覗くことができます。
インクは用紙に印字するもの、その常識から少し離れて、食品包装という特殊な環境でのインクを考えます。
私たちがスーパーで購入する食品は、基本的に消費者が口にするその瞬間まで、食品包装紙と呼ばれる製品で梱包されています。食品包装紙は食品を衛生面で保護する役割があり、食の安全の観点から必要不可欠なものです。
食品包装紙の歴史は古く、人類の文明初期にはすでに木の皮や植物の葉などを使い、狩猟で獲った食べ物を包んでいたとされます。日本ではより洗練された食品包装紙として奈良時代から、日本人の生活必需品として利用されてきたと伝えられています。
食品包装紙は触れる食品により、さまざまな素材で作られています。最もポピュラーな食品包装紙はパルプを原材料とする紙製のもので、買い物に出かけると紙製の食品包装紙を見ない日はないくらい身近な素材です。
しかし食品包装紙が触れるものは油や水分など、ハードな環境で使用されることも珍しくありません。水分・油分が多い食品では、通常のパルプベースの食品包装紙では染み出すリスクがあるのです。
このようなケースでは合成プラスチックの一種であるポリエチレンなどの耐水性のある素材が用いられます。また通常の包装紙にポリエステルフィルムを貼り付けることで耐水性を得られる、ラミネート加工を施した食品包装紙も重宝されています。
加熱が必要な食品を包装する場合は、耐熱効果のあるグラスファイバーが含まれる食品包装紙を使い、発火の危険を防ぐなどの対策がされています。
食品包装紙は本来の使い方としてだけでなく、広告としてもそのポテンシャルを発揮します。食品包装紙は多くの人の目に触れる身近な製品のため、伝えたい情報を印字すれば印刷物として情報を発信することができます。
例えば自社のマスコットキャラクターを印字すれば、食品を食べる人に強く印象付けることができます。食品包装紙に商品コンセプトを印字すれば、自社商品がどのようなものかを消費者に詳しく伝えることが可能です。
QRコードを印字すれば、SNSを通じてフォロワーを効率良く増やすことができ、顧客獲得を低コストで行えます。このように食品包装紙はアイディア次第で、その広告効果の可能性は無限大といえるでしょう。
食品包装紙はその性質上、食品と接触することは避けられず、食品の安全性の問題が懸念されます。特にインクで印字されている食品包装紙は、食品衛生法という法律で厳格に管理されています。
食品衛生法ではインク面と食品の接触は原則禁止とされ、インクが食品に移るなどのフードトラブルを防止しています。どうしても印字が必要な場合は、前述したラミネート加工を印字面に施し、インクと食品が直接触れることがないような対策がとられます。
また特殊な印字として、食品包装紙ではなく直接食品に印字するケースもあります。この場合は可食インクと呼ばれる、食べても問題ない天然由来のインクが採用されます。
代表的なものでは、カカオ・アントシアニン・墨・クロロフィルなど、私たちの身近にある食品から抽出された色素がインクになります。
マクドナルドの食品包装紙、その役割と安全性はどのように変化したのでしょうか。
マクドナルドのハンバーガーは、誰もが食べたことのある代表的なファーストフードのひとつです。しかし食品包装紙の観点からハンバーガーを考えると、過酷な包装環境と言わざるを得ません。
パティに付けられたソースやマヨネーズは、バンズから飛び出し食品包装紙の至る所に付着します。またハンバーガーは油分が多い食品でもあるため、耐油性の強い食品包装紙でなければ衛生的に包むことはできません。
しかし皆さんがご存じの通り、包装されたハンバーガーからソースや油が滲み出ることはありません。これはマクドナルドの食品包装紙が、耐水性・耐油性に強い食品包装紙で包まれていることの証明でもあるのです。
実は過去のマクドナルドでは、ハンバーガーの食品包装紙に安全面で問題がありました。耐油性に強いという理由で、一部の食品包装紙にPFAS(パーフルオロアルキル化合物)が含まれていたのです。
PFASは長期的な蓄積により人体に悪影響を及ぼし、ガンなどの深刻な健康被害の原因になることが知られています。またこの物質は一度人間の体内に入ると、簡単には排出されないという性質があり、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)などの法律で規制されています。
現在マクドナルドはPFASを含む食品包装紙を廃止し、PPS(非フッ素系の素材)での食品包装紙に切り替えました。そのため食品包装紙に印字されたインクは、PPSという安全なコーティングで加工されており、ハンバーガーに触れても安全に食べることができます。これからもマクドナルドの包装紙は、いろいろな印刷デザインで味だけでなく、視覚的にも私たちを楽しませてくれることでしょう。
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