■今回の印刷面白話は…あなたは気付ける?切手の隠し絵と印刷技術
切手の細かいデザインには、さらに細かな隠しデザインが施されていることも。
今回はまさにトリックアート、切手の概要とその中にある隠し絵についてのお話しです。
切手の細かいデザインには、さらに細かな隠しデザインが施されていることも。
今回はまさにトリックアート、切手の概要とその中にある隠し絵についてのお話しです。
切手の正式名称は「切符手形(きりふてがた)」といい、封筒やはがきを郵送するときに必要になります。
意外と知られてない知識のひとつに、自分で作成した「私製はがき」で手紙を書く場合でも、決められた定型と切手があれば問題なく郵送してくれます。
このように郵送には必要不可欠な切手ですが、その実直で固いイメージとは対照的に、製作者の遊び心が盛り込まれている切手も存在します。
無機質なはがきであっても、そのような切手が貼られているだけで心がほっこりと和む、そんな不思議な魅力が切手にはあるのです。
切手の魅力はなんといっても、切手に込められたテーマにあります。
切手のテーマには人物・動物・風景・建築物・色彩など、多種多様な事象が選ばれます。
そのテーマの裏側には、郵送物を送る人の想いが込められています。
例えば猫が好きな人に郵送する場合、送り手は猫がテーマの切手を選ぶことがあります。
日本郵便株式会社が展開する「絵本の世界シリーズ」では、有名な絵本「せかいいちのねこ」をテーマにした切手が商品化されています。
可愛らしくもどこかユーモラスな猫たちのテーマは、猫好きにはたまらない切手となるでしょう。
このように切手のテーマには、送り手と受け手の言葉とは違う、温かいコミュニケーションの役割がみてとれます。
普段使いの切手とは別に、特別なときに作成される「記念切手」とはどのような切手なのでしょうか。
記念切手の歴史は古く、1894年3月9日の明治天皇銀婚記念で作成された記念切手が始まりとされます。
その後も歴史的な事象が起こる度に作成されており、その数は今後も増えることは間違いありません。
例を挙げると、天皇結婚・戦争・飛行郵便試験・明治神宮鎮座・郵便創始・オリンピックなど、時代の節目となる出来事が記念切手のテーマに選ばれています。
記念切手を見れば歴史がわかるといわれるほど、日本だけでなく世界的な事象をテーマにした特殊な切手に位置付けられています。
そのため記念切手は一定枚数のみ印刷され、購入場所も限定されることが珍しくないのです。
誰でも簡単に購入することができない切手、この要素が記念切手の価値を高め、コレクター商品として高額な値段で取引される理由でもあります。
日本国内の切手では、標準的なサイズでは縦2.25cm・横1.85cmというサイズが決まっています。
また標準サイズの切手とは別に、オリジナルの切手も作成することができます。
その場合は縦3.8cm・横1.6cmまたは縦3.8cm・横4.1cmから選択し、切手の厚さは1cm以内、定形外郵便(規格内)で3cm以内にしましょう。
このように切手はかなり小さいサイズになりますが、切手のデザインはそのキャンパスサイズとは対照的に、無限のデザインで見る人を楽しませています。
一般的に印刷サイズが小さければ小さい程、細かなデザインを印刷することが難しくなります。
切手は印刷機のユニットからドット単位でインクが吹き付けられており、1ドットより小さくなるデザインを表現する場合、どうしてもメリハリがつけにくいのです。
しかし近年の印刷技術の発展で、これまで難しいとされた小さなサイズのデザインであっても、より鮮明で鮮やかな色彩で印刷することが可能になりました。
切手をルーペで拡大して観察すると、小さな丸いインクが密集してひとつのデザインを形成していることがわかるでしょう。
絵画でよくある騙し絵のひとつには、見る人によっては騙されたことすら気が付かない、不思議な性質をもつものがあります。
これは細部(ディテール)と主体(アウトライン)で異なるデザインで構成され、ディテールに気が付かずうっかり騙されてしまうというパターンです。
実はこの騙し絵は絵画だけでなく、切手の世界にもあるのです。
例えば公益財団法人日本郵趣協会が発行した「おむすび切手」は、「うめ」「さけ」「こんぶ」「しらす」の文字が、ディティールとして隠されています。
この隠し文字は、言われて初めて気付いたという人も多くいたのだとか。
前述の通りただでさえ印刷が難しい切手を用いて、さらにそのデザインの中に隠し絵を盛り込むとなると、非常に精彩で緻密な印刷オペレーションが必要になります。
この切手印刷を可能にするのが、現代印刷技術が集約されたグラビア印刷と呼ばれる印刷技法です。
グラビア印刷は凹版と呼ばれる金属にセルを彫り、そこにインクを流し込んで用紙に転写することで印刷します。
切手の騙し絵に使われるグラビア印刷は、このセルひとつひとつの深さを変え、インク濃度の違うインクを詰めることでデザインを表現します。
そのため微妙な濃淡やディテールの緻密さを維持しながら、切手のような小さなサイズでも高品質な仕上がりが可能になります。
あなたのご家庭にあるその切手、もしかして騙し絵の切手かもしれませんよ!
肉眼で確認することが難しいハイクオリティ印刷ですので、是非ルーペでじっくりと切手を鑑賞してみてはいかがでしょうか。
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