印刷の面白話│紙にある「目」で 印刷物が丸まる?見落とし厳禁な紙の目のお話し

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■今回の印刷面白話は…紙にある「目」で 印刷物が丸まる?見落とし厳禁な紙の目のお話し

「壁に耳あり障子に目あり」ということわざがありますが、実は印刷に使用される用紙にも目があることはご存じでしょうか。
この目は印刷用語で紙の目として、印刷物のトラブルを引き起こすこともある、少々困った代物でもあるのです。
今回の印刷面白話は目だけに見落としは厳禁、印刷物の紙の目について詳しく解説します。

1.印刷における紙の目とは

紙の目はパルプの特性から生まれる

印刷用紙には「紙の目(かみめ)」と呼ばれる、用紙がもつ縦または横に沿って流れる方向性があります。一般的に印刷用紙は原材料に木材を加工した、パルプという繊維質と水分が豊富な、粘性のある素材が使われています。パルプには植物が有する食物繊維(セルロース)が豊富であり、このパルプの繊維が紙の目の直接的な原因になります。印刷用紙は肉眼ではわかりにくいですが、顕微鏡などで観察すると細かなパルプ繊維が並列している様子が確認できます。この繊維が織りなす一定方向への流れは、印刷用紙に仕上げた後も変わらず紙の目として残り続けるのです。

紙の目は縦目と横目の2種類

紙の目は縦目と横目という2種類があり、パルプを印刷用紙に加工する際に紙の目が決まります。パルプを印刷用紙に加工するためには、「抄紙(しょうし)」というパルプを広げて水分を飛ばす工程が必要になります。抄紙では漉き網にパルプを重ねて、コンベアで流しながら印刷用紙の原型を作ります。このとき機械で流す方向にパルプの繊維も並ぶので、機械の方向によって縦目と横目も決まるという具合です。縦目と横目は印刷用紙の長辺と短辺を見て、長辺を基準にして考えます。縦目は長辺に対してパルプの繊維が平行、横目は長辺に対してパルプの繊維が垂直に並んだ状態を意味します。

2.紙の目によるトラブル

カールによる湾曲

印刷用紙の紙の目トラブルで代表的なものとして、印刷用紙がカールすることによる品質不良が挙げられます。前述した通り紙の目に沿ってパルプ繊維が並ぶことから、どうしても印刷用紙は紙の目方向へカール(湾曲)しやすいという性質があります。通常は水平な印刷用紙ですが、カールがひどいと机に置いても、くわえ尻(印刷用紙の上下)を中心にして浮いてしまうことも少なくありません。製本後にカールが起こると、表紙などが不自然に丸みを帯びてくるので一目瞭然です。こうなると残念ですが印刷物としては不合格、場合によっては納品後のクレーム発生になることも。

逆目からくるシワ

印刷用紙の縦目と横目と逆方向に折り加工すると、逆目(さかめ)という状態になります。逆目は紙シワの発生原因でもあり、印刷物の品質を大きく損ないます。パルプの繊維とは違う方向へ力が入るので、印刷用紙が不自然な形でねじれることも少なくありません。ねじれは細かなシワを作り折り加工が正確にできない場合や、ひどいケースでは「折り割れ」と呼ばれる、印刷用紙の破れを誘発したりもします。もともと印刷用紙は気温や湿度などでもパルプの繊維が伸び縮みするため、紙の目を無視した加工は印刷物にとって致命的なトラブルを引き起こすのです。

製本時の糊剥がれ

印刷用紙の紙の目によるカールは、製本における糊加工で注意が必要です。製本の印刷物は複数の用紙を重ねる(丁合い)ことで「背」と呼ばれる厚みを作り、その部分を中心に接着剤で表紙を糊付けします。基本的に製本では、紙の目は縦目の印刷用紙で印刷します。このとき紙の目を揃えなかったり、逆方向の紙の目で重ねてしまうと、背固めで糊つけしてもカールが生じることがあります。カールがひどいと糊が固定されず、時間が経つと背が糊剥がれを起こし、ページが脱落するなどの不良品が出てしまいます。

印刷機械の故障・納期トラブル

印刷物を大量生産する印刷現場では、紙の目による印刷トラブルが珍しくありません。大型印刷機で高速に刷り出すため、印刷用紙の紙の目を間違えてセットしてしまうと、給紙・排紙のタイミングで紙詰まりを誘発します。しばしば紙詰まりが原因で印刷機が故障するケースもあり、復旧まで予定外の遅延が出てしまうことも考えられます。印刷会社は納期を守るために、時間単位で印刷物をどれだけ刷るか計算し、スケジュール管理のもと印刷物を製造しています。深刻な故障になれば生産管理が滞り、納期を守れずエンドユーザーにまで被害が広がるという最悪のケースもあるそうです。

紙の目は本当に悪者なのか?

印刷用紙の紙の目はカールの原因になるなど、目の上の瘤として考えられることが少なくありません。紙の目の特性は注意が必要ではあるものの、有効活用できれば心強い味方にもなります。例えば紙の目方向に合わせて折り加工すれば、印刷物の折りが美しく仕上がります。特にケント紙・画用紙など、厚紙で折り加工をする場合、紙の目があることで用紙の割れや裂けを防ぐことができます。製本では紙の目と背表紙を並行にして加工することで、見開いたときに自然なカールが起こり、ページが開きやすいというメリットがあります。また紙の目はその方向への力に対して強いという特質から、紙の目を合わせることで印刷物の耐久性を高める工夫もされています。このように紙の目の特性を理解し正しく活用すれば、悪者としてのネガティブなイメージはなくなり、印刷物の品質を向上させるファクターになるのです。

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