印刷の面白話│世界一美しい印刷物や地図印刷から考える、印刷がもつ美の概念

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■今回の印刷面白話は…世界一美しい印刷物や地図印刷から考える、印刷がもつ美の概念

美しい印刷物とはどのようなものか、世界の印刷物や地図印刷に触れながら、印刷がもつ美しさを色々な角度から考えます。

1.印刷物の美しさと人間がもつ美の基準

なぜ人間は無機物に美を感じるのか?

世界一美しい印刷物をご紹介する前に、まず無機物と人間の美意識のメカニズムについて触れておきましょう。
人間が対象物を美しいと感じるとき、脳内の「眼窩前頭皮質」の反応が活発になることが科学的にわかっています。 眼窩前頭皮質は視覚的な情報を精査し、美しさという感情をフィードバックするという役割があります。
とてもユニークなのは、この美しいと思う感情は人それぞれで違うということです。 ある人が美しさを感じるものでも、別の人に全く美を感じないということは珍しくありません。 これは有機物・無機物を問わず、画一化された絶対的な美の基準はないことを表す事例でもあります。
また人間が美を感じる時、脳内の血流が増加したり、高齢者の認知機能の改善にも寄与することが知られています。

印刷物においての美とは

美を感じるには美術館に足を運ぶのもひとつの手ですが、身近な印刷物からも美しさを味わうことができます。

①ぬくもりまでも感じさせる活字印刷
印刷物の活字は細部まで潰れることなく、美しいフォントがインクで印字されています。 ゴシック体・明朝体など豊富なフォントが高品質に印字されており、デジタル媒体では感じることが難しい、アナログのぬくもりまでも表現することができます。

②インクが魅せる豊かな色彩
高品質な印刷物は色彩の表現が素晴らしく、まるで本物の写真と見間違うクオリティで印刷されています。 グラビア印刷に代表される精細な印刷技術は、写真がもつ濃淡や陰影などディテールを妥協なく用紙に再現できます。

③用紙だけに止まらない印刷美の世界
食品のパッケージやラベルには、パッケージ印刷・ラベル印刷など、進化した印刷技術が導入されており、私たちの生活を美しく彩っています。 印刷は用紙というイメージが強いですが、私たちの身近には多くの媒体で印刷の美しさを体感しているのです。

2.世界一美しいといわれる印刷物

縦型キャンバスの芸術性・旧スイスフラン紙幣

世界一美しいと称される印刷物を語るうえで、過去にスイス銀行が発行したスイスフラン紙幣は外せません。 紙幣といえば実用性重視で印象に残りづらい物も多い中、旧スイスフラン紙幣はそんな常識を吹き飛ばす芸術性と印刷的な美を有しています。
まず特徴的なのは縦方向に設定されたラベル面、これにより一般的な横方向の紙幣では難しいデザインを印刷できるようになりました。 紙幣をキャンバスに例えるとわかりやすく、ありふれた横型のデザインの中で、縦型にデザインされた旧スイスフラン紙幣のインパクトは絶大でした。 さらに当時最高峰の凹版印刷技術で印字されたデザインは、絵画を彷彿させる美術性を紙幣で再現しました。
これは有効期限が消失し紙幣としての価値がなくなった現代において、多くのコレクターが旧スイスフラン紙幣を高値で取引していることからもうかがえます。 この優れた印刷の美しさは複製することが難しく、旧スイスフラン紙幣の信頼性を高めることにも繋がりました。

複製・模造と印刷美の関係について

印刷の美しさが犯罪を防ぐ、まるで映画のようなストーリーですが、高品質な印刷技術は複製を困難にします。 日本では紙幣を複製すると「通貨及証券模造取締法」により逮捕されますが、これまで世界においても紙幣の複製への対策が進歩してきました。
例えば紙幣に利用される「透かし」という技術は、印刷工程で特殊なインクで透かし部分を区別し、光の反射率で印字面が変化することで複製を防ぎます。 これは単に紙幣の複製対策だけでなく、透かしをデザインの一部に組み込むことで、光とインクが織りなす唯一無二の印刷美としても機能します。
このように印刷物の美しさは、高度な印刷技術の賜物といえるでしょう。

3.地図で見る精巧緻密な印刷の美しさ

精度の中に秘められた地図印刷の美について

近年スマートフォンが主流となり利用機会が減ったものの、地図関連の印刷物は私たちの生活に必要なツールのひとつです。 地図を扱う印刷物では、道路・区間・標高・建築物・など、多岐に渡る情報を正確に描画・印刷しなければいけません。 もし地図情報の位置がズレたり、間違った交通網を印刷してしまうと、地図を利用する人が混乱するだけでなく、予期せぬ事故やトラブルに遭遇する恐れがあるからです。
過去には烏口とよばれる道具を使い、手作業で地図を作成していた時期もありました。 現代では正確な縮尺で細部まで印刷できる、高度な印刷機が地図作成に利用され、精度や地図情報の数が格段に増加しています。 また限られたスペースに必要な情報を記載するため、他の印刷物と比較して高度な見当(複数の版を重ねること)合わせが可能になりました。
「神は細部に宿る」という格言からもわかるように、精巧緻密に印刷される地図情報を見るとき、その完璧な仕上がりの中に、ある種の美しさを感じずにはいられません。

ハザードマップの重要性と安心を支える印刷技術

スマートフォンがあれば地図なんて必要ない、そう考える人は少なくないかもしれません。 しかし災害時に電波や電力などの生活インフラが止まれば、もはやスマートフォンは何の役にもたちません。 このような状況下では、ハザードマップが記載されている地図関連の印刷物が必要不可欠になります。
災害時の状況を想定した雨風に強い耐水紙での印刷により、水に濡れても視認性が損なわれないという特徴があります。 さらに印刷後にラミネートを貼り付けることで、印刷物の強度を高める工夫がされています。
どんな状況下でも見やすく使いやすい、美しいだけでなく安心も感じることができる、これは印刷技術の進歩なくしては決して実現しません。

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