■今回の印刷面白話は…312億円の絵画は印刷!?
312億円という驚きの値段で落札された絵画、実はシルクスクリーンで印刷されたものだったって知っていましたか?
今回は、そんな高価なアート作品にも使われている「シルクスクリーン印刷」について、その仕組みや特徴を分かりやすく解説していきます。
312億円という驚きの値段で落札された絵画、実はシルクスクリーンで印刷されたものだったって知っていましたか?
今回は、そんな高価なアート作品にも使われている「シルクスクリーン印刷」について、その仕組みや特徴を分かりやすく解説していきます。
シルクスクリーン印刷は、簡単に言うと、メッシュ状の版にインクを通す穴を開けて、その版を使って印刷する方法です。イメージとしては、Tシャツにプリントする際に使う版と同じですね。
この版を紙や布などの素材に押し当てて、ヘラでこすると、穴が開いている部分からインクが通り、デザインが転写されるんです。
2022年に1億9,500万ドルで落札されたのは、アンディ・ウォーホルの作品「撃ち抜かれたマリリン」です。1億9,500万ドルは日本円なら312億円!昨今の円安(令和6年7月)の影響で、金額はさらに迫力を増しています。
20世紀の作品としても、アメリカ人芸術家の作品としても最高額でのオークションとなったといいますが、印刷にかかわるものにとって興味深いのは、この作品がシルクスクリーンによるものだというところです。
「打ち抜かれたマリリン」は4種類ある有版印刷の一つ、シルクスクリーンで刷られています。
有版印刷とは「版」を用いる印刷方法のことで、辞書は版のことを「印刷のために文字や図形を彫った板」と説明しています。
4種類ある有版印刷のうち3つは新紙幣が登場!お札には●●印刷が使われています」で解説した「オフセット」「凹版」「凸版」で、残りの一つが今回解説する「シルクスクリーン(孔版)」です。
シルクスクリーンの印刷の仕組みは、それほど難しくはありません。
使われる版は木や金属製のフレームに、ナイロンやステンレス製のメッシュを張ったものです。メッシュは細かな目で編まれておりインキを通さないので、印刷したい図柄や文字の通りに小さな穴を開ければ、シルクスクリーン印刷用の製版は完了します。メッシュへの穴あけは感光した部分が固まる薬品などを用います。
シルクスクリーン印刷は、完成した版を紙など印刷したい対象にのせておこないます。版にインキを盛って上からヘラでこすれば、穴の開いた箇所だけにインキが落ちていき、図柄や文字通りに印刷されるのです。シルクスクリーン印刷と呼ばれるのは、かつてメッシュに絹が使われていた名残です。
シルクスクリーン印刷の強みは以下の2つです。
何にでも印刷できる
鮮明な印刷ができる
対象に直接インキを盛るので、紙だけでなく布や木材、金属、プラスチック、ガラスなど何にでも印刷できますし、平面以外にも印刷可能です。
またシルクスクリーン印刷では紙などの対象に直接インクを盛るので、色鮮やかに仕上がります。
シルクスクリーン印刷の主な弱みは以下の3つです。
細かい表現やフルカラーは苦手
色数が多いと割高になる
他の印刷よりスピードが遅い
メッシュには小さな穴を開けにくいので、細かなデザインの表現は苦手です。細かな網点も作れないのでCMYKによるフルカラー印刷もできませんし、1色ごとに1枚の版が必要になるので、色数が多いデザインほど割高になります。
またシルクスクリーンの多くは、1枚1枚人の手で刷られています。オフセットのようなスピードでの印刷はできません。
何にでも印刷できる強みを生かして、シルクスクリーンは多くの場面で用いられています。Tシャツやトートバッグなどの図柄、自動車内装や家電製品の印刷文字、企業ロゴなどなど、紙以外に印刷されたものの多くがシルクスクリーンといってもよいでしょう。
面白いところでは自動車のリアガラスにある結露防止の熱線も、ガラスにシルクスクリーンで電気を通すペーストを印刷したものです。
話は冒頭の「撃ち抜かれたマリリン」に戻りますが、これはシルクスクリーン印刷です。
たとえば2015年に、それより安い1億7,900万ドルで落札されたピカソ「アルジェの女たち」はもちろん肉筆画。対して「撃ち抜かれたマリリン」は、全く同じではないとはいえ色違いが5つある内の1枚ですし、制作のほとんどはアトリエのスタッフによるもので、ウォーホル自身はサインしかしていません。
同じものが刷られないよう、制作後は版を破壊する決まりだったといいますが、現在も「海賊版」が出回っているのがウォーホル作品です。
なのに312億円です!ウォーホルは大好きなアーティストですし、過小評価するつもりはありませんが、シルクスクリーンにとんでもない値段が付いているのを知ると、同じ印刷物を扱っている身としては不思議な気分です。
さすがに312億円のものを手掛けたことはありませんが、私たちもポスター印刷を得意にしています。
オンデマンド印刷を主におこなっており、版が必要ないので単価を抑えられることやフルカラーもお手の物なのが、シルクスクリーン印刷にはない強みです。
あなたが作ったデジタル作品の印刷なら「ABポスター」に1枚からご相談ください。何しろウォーホルと同じ印刷物です。サインを入れれば数10年後にとんでもない値段が付いているかもしれません。
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