印刷データを作成する時に「dpi」という表記を目にしたことはありませんか?
dpiは印刷物の品質に大きく関係しており、適切なdpiを確保しなければ思う様なクオリティになりません。
この記事ではdpiと適切な出力サイズの目安・高品質な印刷物を作成する際の注意点を弊社ABポスタースタッフがわかりやすく解説します。
dpiの概要
dpiは正式名称を「dots per inch(ドットパーインチ)」と呼び、印刷物の解像度はこのdpiで表示されます。
印刷物は拡大すると小さな点で構成されており、この組み合わせが四方2.54cm(1インチ)の中にどれだけ存在するかを意味しています。
dpiの数値が高いほど1インチの中にある点の数が多く、より密に描画されるため、より高品質なデザインを出力することが可能です。
またdpiは印刷データの品質だけでなく、出力する印刷機の性能を示す数値としても用いられます。
印刷物とdpiの関係性
ポスター印刷などの印刷物は、印刷機内で印刷用紙にCMYKのインクを吹き付け、繊細なドット(丸点)を印字することで出力されます。
1インチの中にある点と点が離れている(dpiが低い状態)で印刷すると、メリハリが薄い霞んだ様なデザインに仕上がります。
逆に1インチの中にある点と点が狭く密集している(dpiが高い状態)で印刷すると、より滑らかで色彩豊かなデザインで出力されます。
一般的にdpiは高い方が良いとされますが、出力サイズや用途によって目安となるdpiの数値が決められています。
dpiの豆知識
dpiと印刷物を考える上で、知っておくべき4つの豆知識をご紹介します。
誤解されやすいdpiですが、用途にあわせてdpiの数値を変更する必要があります。
dpiの適切な知識を知れば、印刷データ作成がもっとスムーズになるでしょう。
豆知識1.dpiは高ければ良いという知識は誤り
dpiは必要以上に高設定にしても、印刷物のクオリティが際限なく引き上がるわけではありません。
Illustrator・Photoshopなどのソフトを使用すれば、dpiの数値自体は簡単に上げることができるでしょう。
しかし印刷データの数値をいくら高く設定しても、最終的に印刷機でアナログ処理される段階で、印刷機が出力できる最大値のdpiまで引き下げられます。
通常CMYKのカラー印刷であれば、350dpiを確保して入稿すれば、高品質な印刷物を出力することが可能になります。
豆知識2.dpiとppiは似て非なるもの
画像の品質を決める指標のひとつに、ppi「pixels per inch(ピクセル・パー・インチ)」があります。
ppiはdpiと同様に解像度に関係しており、数値が高ければ高いほど精細なデザインを作成できます。
得てしてこのppiはdpiと混同して認識され、印刷の段階で予期せぬトラブルを引き起こすケースが存在します。
ppiは単位がドットではなく、pixelがどれだけ密集しているかで計算されるため、用紙の印刷(アナログ出力)とは区別しなければいけません。
Webサイトのデザイン・CGなどのグラフィック作成(データ出力)はppi、最終的に印刷物として用紙に刷り出す場合はdpiの数値を確認すると安全です。
豆知識3.カラーよりモノクロの方が高いdpiが必要
意外に思うかもしれませんが、dpiはカラーよりモノクロ印刷する場合の方が、より高い数値で印刷データを作成しなければいけません。
一般的にカラーの写真・イラストを含む印刷物を作成する場合、350dpi以上の解像度でデータを作成します。
対してモノクロ(グレースケール)の印刷物を作成する場合、少なくとも600dpi以上の解像度を確保しないと、高品質な印刷物に仕上げることが難しくなります。
また白黒(モノクロ二階調)の印刷物であれば、線画の潰れ・擦れを防ぐために1200dpi程度の解像度で入稿いただくと安心です。
豆知識4.高すぎるdpi設定は印刷データの処理に悪影響する場合も
Illustrator・Photoshopなどで印刷データを作成する時、dpiを高く設定し過ぎると処理が重くなり、作業効率の低下を招くケースがあります。
作業環境にもよりますが、印刷データを開く時間が長くなる・書き出しに時間がかかる・ひとつのアクションのレスポンスが悪くなるなど、スムーズな作業が難しくなるリスクが高くなります。
綺麗な印刷物を希望するあまり、悪戯に印刷データのdpiだけを高くしても意味がないことを覚えておきましょう。
dpiにおけるカラーとサイズの相互関係
dpiにはカラー・サイズにより、目安となる適切な数値が存在します。
印刷物とdpiの数値は相互関係しており、この数値以下で印刷するとデザインの品質に悪影響し、目的の印刷物が作成できなくなるので注意してください。
カラー別のdpi設定値
カラー(CMYK)350dpi
モノクロ(グレースケール)600dpi
白黒(モノクロ二階調)1200dpi
サイズ別のdpi設定値
名刺サイズ(91×55)〜A4サイズ(210×297)350dpi
A1(594×841)〜B1(728×1030)200dpi
dpiを高くしても印刷データの根本的な解決法にはならない
解像度の低い写真データを使って印刷データを作成する場合、dpiを高くすることで足りない解像度を補填しようと考える人がいます。
しかしいくらdpiの数値を変更しても、元のオリジナル素材に欠陥があれば問題を解決することはできません。
dpiはオリジナル素材の画質をアップスケーリングし、足りない部分に新規にpixelを追加するツールではありません。
解決する為には問題となる写真を差し替えるなど、根本的な対応が「完全データ入稿」に必要になります。
弊社ABポスターはお客様がスムーズに「完全データ」を作成できる様に、コンシェルジェサービス(0120-970-111※平日10:00-19:00)にて個別相談に対応しておりますので、お困りごとがあればお気軽にご相談ください。